恒例の一人旅顛末記2000(2000.08.17〜20)
 この旅を始めたのは8年ほど前になる。何がきっかけかはよく覚えていないが、18切符(正式名称:青春18切符1日中普通列車のみ乗り放題の権利が5日分で11500円、1人で5日でも、5人で1日でも自由な切符で、春夏冬休みの期間限定、名前が悪いが年齢無制限っす)を使って夏休み期間に知らないところへ行く、というスタイルだけは変わっていない。
 一番最初に行ったのが四国、これは目的がはっきりしていた、土佐の高知で坂本竜馬の銅像を見る、これだけだった。 その後は九州一周や山陰、ご飯の見えないイクラ丼を食べる事だけを目的に北海道へ行った年もある。 これは失敗だった、ご飯が丸見え。
 最近は目的なしに出かけることが多くなった。今年は顕著で、函南駅のホームに先に入った電車に乗ることにしていた。来たのは下りだったので、今安倍川の当たりを走っている。
 さて、イデタチを記しておく。履き物はサンダル、1000円で買った安物。 ズボンは破れたジーパンを短パンにしたやつ、っていってもただ切っただけ。Tシャツに帽子はひげ剃りの懸賞で当たったやつ、サングラスだけは高級品で、20年ぐらい前に買ったなす型ミラーのレイバン。ついでにパンツは100円均一。これはかなりの優れもの、100円均一での2つ目のヒット。ちなみに最高のヒットは眼鏡。(決してR鏡では決してありません)会社でも家でも愛用していまして、5本は持っている。100円均一評論家を辞任する編集子のお勧めを聞いて損はしません。眼鏡とパンツです!!
 運転士のすぐ後ろの席に今いるのですが、運転士が「出発進行」「信号よし」「・・・・よし」と大声で叫んでいる。思わず微笑んでしまう。 タイガースの若手にも、この元気さが欲しいものです。それにしても昨日といい、一昨日といい情けない戦いをしたものです。黄泉瓜相手に何であんな戦い方をするのかよくわかりませんな。それと、TVがたまたま映した野村監督とカツノリの談笑(カツノリが今期1号ホームランを打ったあと)にはほんまにがっくり来ましたね。敗色濃厚でカツノリのホームランなど焼け石に水の1点だったですからね。そんな場面で笑うなってえの。腹が立つううう。もう忘れよっと。(2000.08.17.08:32)
 名古屋で降りて紀伊半島を一周しようか、那智の滝でもみようか、とさっきまで思っていたんだけど止めて、中央線に乗り換えて多治見でまた乗り換えて高山の方にでも行こうかと10分前まで考えて、またまた気が変わって、このまま乗り継いで米原まで行くことにする。
 そこから富山を目指すことにしまひょ。
 九頭竜線という枝線の名前が急に気に入ったので、なんとしても乗ってみたくなったのだ。(2000.08.17.10:59)
 関ヶ原を過ぎた当たりで、それまでの天気が嘘のような猛烈な豪雨。デジタルのような天気の変わりようだった。それにしても、米原で2分しか乗り継ぎ時間がないので、もう12時を回っているのだが飯が食えない。バックに入っていた柿の種で飢えをしのぐ、が今度はのどが渇いた。と書いていたら、もう陽が射してきた。外の地面はカラッカラ、雨の降った形跡なし。関ヶ原付近だけの集中豪雨ってかんじですな。(2000.08.17.12:08)
琵琶湖が見える、と思ったらもう終点の長浜だとさ。長浜といえば、その昔羽柴秀吉が初めて城を築いた場所なんてのが思い浮かぶ。小谷城も近くのはずだし、この辺は古戦場が多い。古戦場で思い出したが、さっきの関ヶ原の雨。冬になり雪で東海道新幹線が止まるときのフレーズが決まって「関ヶ原付近の雪の影響により・・・・・・・・」ってやつだった。あそこだけ、他の場所とは違う何かがあるのだろうか。ってSFもどきになってきた。(2000.08.17.12:30)
 敦賀に13時20分過ぎに着き、ここで乗り換えに約30分、やっと昼飯にありつく。ついでに女の子が食べていたアイスが無性に美味しそうに見え、キヨスクで買う。普通なら絶対にアイスを食べたいなどと思わないのだが、旅に出るとそのへんも違ってくる。
 話は代わるが、編集子にはどうもケチの癖が染みついているようだ。その最たるものがこの旅かもしれない。考えてみると、「放題」が好き、というのもケチの現れ。食べ放題は余りないが、飲み放題は同僚とよく行く。大抵90分980円飲み放題で生ビールを3〜4杯、黒ビールかハーフをあと1杯、焼酎か日本酒を沢山。
 これで元が取れる、なんてものじゃなくて次の日に二日酔いになるほどを980円で飲もうというのだから、やっぱりケチなのだ。
 この旅も1日乗り放題で、どこまで行けるかに儲かったと感激する。南なら九州は鳥栖、北は青森までが、静岡からの限界だったが、やりすぎると腰とお尻が痛くなるのが玉に瑕。(2000.08.17.14:11)
 越前花堂で降りて乗り換えるのだが、ホームがとんでもないところにある。一旦駅を出るような感じで15分ほど待つ。
 初めはなんやねんと思った九頭竜線。急坂をエッチラオッチラと登るイメージだっただけに当てが外れた。なにしろ両側がすべて田圃でいわゆる越前平野のど真ん中をただただひたすらに真っ直ぐ走る1両電車。これじゃあ、伊豆のど真ん中を走る通称イズッパコ、別称スンズ線(正式名称は伊豆箱根鉄道、ちなみに西武系のためやたらとその方面のポスターが目立つ)とおなじや。それも大学生らしき男女で一杯で立つ羽目に。
 しかしそれも、一条谷を過ぎる頃からやっと山の中に入った。この大学生らしき人々は何しにどこへ行くんだろう?まあ、わてには関係あらへんが。(2000.08.17.15:24)
 終点に着く前に虹を見た。虹なんて久しぶりだが、それも2重に架かる虹。吉兆ならいいのだが。九頭竜の駅は雨が降っている。駅前の地図で見ると湖まではだいぶあるようだが、せっかく来たのだから見に行こうかとも思ったが、帰りのことを考えて止めた。
 恐竜博覧会が福井で開かれているポスターがそこここにあったが、その一部の会場がこの九頭竜の駅のようで、実物大と思われるなんとかザウルス(名前が出てこないのだけれど、肉食獣の大様)の動く模型が2体飾ってあった。かなり良くできている。
 来た電車がそのまま折り返しとなるので、次を待つと2時間近い、結局来た電車にそのまま乗る。
 珍しく女性の車掌さんが乗っている、多分勤務が終わって帰るのだろう。(2000.08.17.16:34)
 昨日は、そのまま福井に行って、宿に泊まる。宿と言っても編集子のこと、ホテルや旅館などに泊まるわけはなく、最近はもっぱらサウナである。この旅を始めた頃は駅寝、カプセルホテル、ビジネスホテル、木賃宿などいろいろ泊まったが、去年からはサウナオンリーである。なぜかって、まずもって安いこと。 昨日のところが2100円。中でビールを飲んだり食事をして追加が3100円。合計5200円。でもってサウナがつているのだから、安い。
 その仮眠室で、ハンセルが打たれるのを見て、ガックリ。無様(ぶざま)な試合でした。情けない。結果論ですが、1アウト満塁でハンセルの場面は代打で勝負しても良かったんじゃないか。
 なぜなら、最悪の場合、内野ゴロダブルプレーで2点差だけで逃げ切れる確率と代打で1点取り3点差にして中継ぎ陣に託して逃げ切る確率とどちらが高いかの選択ではなかったのか。
 だとすれば、後者が少し有利のような気がします。2安打ピッチングとはいえ、ハンセルの突然崩れるパターンは何回も味わったはず、早い回に崩れるか、少しもつかの違いで、そのまま最後まで行った事はないのですから。
 結果的には坪井のヒットで3点差になり万々歳、って訳ではなく沈黙していた大砲が火を噴き、吹き飛ばされちゃったわけで、どこが悪かったと言えばやはりハンセルの換え時を間違えたんでしょう。
 話は変わり、「福井」って地名ですが、福井城祉へさっき行って来てわかったんですが「福の井」という名前の井戸が天守閣の脇にあり、この名前をとってつけたとか、知りませんでした。8時34分の福井発富山行きに乗り、現在金沢へ向けて走っています。(2000.08.18.09:04)
 七尾線に乗り換え、約1時間少しで七尾に着く。能登名物味噌饅頭を1ヶ買い、引き返すことにする。ここまで来て海が見えないのが残念。やっぱりええ加減な旅だから名所旧跡を見ることもなく、ただ駅前をぶらついて引き返すのは、なんとなく何しに来たのかわからないが、ただ電車に乗っていれば気が済む人なので、それでいいのだ。
 それでも、車窓を見ているだけで結構発見もある、たとえば能登半島に限らないのだがこの辺の家の屋根だ。ほとんどが真っ黒の瓦、それも黒光りしている。倉庫とおぼしき建て物もなぜか同様なのだ。笑ったのは3階建ての鉄筋コンクリート作りの学校の屋根が(普通なら屋上だが)やっぱり黒の瓦葺きなのだ。それから、ここに至る途中に、「高松」という駅があった。四国の高松と同名だが、JRの駅名は全部違うと聞いていたので不思議に思う。(2000.08.17.11:34)
 金沢に戻り、2時間以上ぶらぶらしてまた北陸本線に乗る。高岡で降りて氷見線に乗り換えようと思ったが、高岡駅で黄泉瓜のビルが見えたので、急に心変わり、富山まで着た。
 富山港線という枝線に乗り換えた。20分で終点に着いてしまう短い線路だ。そのうえ、日本で一番遅いんじゃないかという多分平均時速20km、2分も走らないうちに次の駅が来る。路面電車並み。
 そう言えば、昨日の福井には路面電車が走っていた。まだ結構残っているんですな。(2000.08.17.15:37)
 岩瀬浜に行って来た。100mはあろうかという幅広の砂浜が延々と続いている。北からの風で清々しいうえに、広々として実に気持ちいい。海水浴客はまばらだが、水着のお姉ちゃんもいた。
 初めて日本海の海水に足を突っ込んだ。ぬるかった。特筆は帰り際に見た外人女性の生着替え。突然のことでよく見えなかったのが残念。誤解を招くといけないので説明するが、だだっ広い砂浜の片隅で2人の外人女性が水着に着替えていただけ。覗いたわけではありません。周りに人が少ないとはいえ、タオルを巻いての生着替え、大胆です。それも超ビキニっす、目の保養でした。(2000.08.17.16:37)
 昨夜のサウナは最低でした、2800円も取っておいながら、一昨日に比べると雲泥の差。 施設はぼっこだし、食事をするところも泣かしいほど貧弱。外で一杯やってきたから良かったようなもの。その上、疲れていたのでかなり早く寝たのですが、夜半に隣のいびきで目が覚める始末。いびきで迷惑をかけたことはいくらでもあるが、逆に目が覚めたのは久しぶり。しゃあないので、寝る場所を変えてまた一寝入り。
 目が覚めて、新聞を見ると、なんと6連敗。それも11回の表に1点を入れながら、その裏にさよならだってえから、シュウマイに取ってはこたえられなくても、タイガースファンにとってはむちゃくちゃな展開。新聞によると、野村監督がバッテリーに対してかなり御不満のようで、なんでも内角が1球もないとかとか。まあ敗軍の将兵を語るなかれですが。
 300円のモーニングセットで朝飯を済ませて、北へ向かう電車に乗る。行き先は電車に聞いてくれ。(2000.08.19.08:17)
 黒部駅では10分の待ち合わせだったが、次に止まった泊の駅ではなんと1時間20分の待ち合わせ。仕方がないので、というかただ待っているのが何より辛い編集子ですから、泊の町を歩いてみることにした。しかし、行けども行けども人家は有るが人通りが少ない、まだみんな眠っているんじゃあないかと思われるような静けさ。何もないというか、異次元へ来たような静けさだけが印象に残る。1時間弱を彷徨してやっと帰ってきたがまだ30分もある。(2000.08.19.09:56)
 糸魚川で30分の待ち合わせで、大糸線に乗り代える。車中で昼食をしませていると、1両だけの電車(いや電車ではなくディーゼル車)は、姫川沿いをエッチラオッチラと登り始める。両側の景色は絶景だ。谷が深いのだろうが、急峻な山がすぐそこまで迫っている。1000mはゆうに有ろうかと思うが、山の頂上まで木々が生い茂っているところを見るとそれほど高くもないのか。その山の向こうにも山が続き、その向こうにも、そして北アルプスに繋がっているのだろう。
 点々と発電所があるだけで、余り人間の干渉が進んでいないようにも見える。 トンネルに時々入るが、えらく長い、そのうえ出ると景色が違っている。秋の紅葉の時期に来れば正に絶景にお目にかかれるだろう。進行方向右側が座るお勧めの位置だ。(2000.08.19.12:14)
 南小谷駅でまたもや30分以上の待ち合わせ、ガック、とおもいきや駅のそばを流れる姫川の水がきれいなことおびただしい。河原に出るにはかなり高いのだが、無理矢理降りる。流れはかなり急であるが、水はものすごくとまでいかないが冷たい。膝まで浸かってみるが気持ちがいい。清流ってやつだ。松本行きに乗るが、今度は一等席を確保。だが、日差しがまぶしい。(2000.08.19.13:26)
 白馬を過ぎる頃から急に信州の雰囲気になる。蕎麦の花が真っ盛りだからだろうか、なにか見慣れた風景のような気がする。 2両の電車の乗客は座席数の半分と言ったところ。山が少し遠くになった。谷の幅が広いということなのか。着く駅毎に登山帰りの人々が乗る。老若男女の登山家たちだ。(2000.08.19.13:44)
 3つ目の湖が見えてきた、確か青木湖じゃないかな。30年近く前に一度来たことがある。それよりよく覚えているのは松本清張の推理小説の舞台になったのがここだったと思う。その小説の題名は、とっくの昔に忘れてしまったが、死体の処理方法が余りにユニークだったので、記憶にこびりついている。殺人でもっとも難しいのが死体の処理、それを完璧にすれば完全犯罪は成ったようなもの。その死体処理方法がなんと、死体を凍らせて、ハムを作るスライサーにかけて薄切りにし、青木湖のブラックバスに食べさせてしまうというものだった。お試しにならないように。(2000.08.19.14:09)
 なにいい!!7連敗、最下位復帰!!なんてこっちゃ。今朝、サウナの新聞、それも放置新聞を見てガックリきた。負けつづけやでえ。言葉にもならへん。しかし派手なチームや、6連勝のあと7連敗でっか。これで去年みたいにグズグズにならねばよいが。(2000.08.20.07:54)
 中央線をそれこそエッチラオッチラと登り首都圏内に入ると、編集子の興味を引く物も少なくなる。 八王子で降りてみたり、ぐるぐる回って帰途につく。やはり4日目ともなると疲れてきた。18時の試合開始までに間に合うかな。(2000.08.20.14:33)